光文社新書『JJとその時代』鈴木涼美さん著
JJには私自身もお世話になりました。休刊となる少し前まで、誌面のデザイナーとして関わらせていただいていました。
赤文字系雑誌に親しんでこなかった私は、当時JJを手に取ることはあまりありませんでしたが、この本を制作するにあたり、鈴木さんの文章を通じて、JJに限らずさまざまな女性誌の歴史や背景を知り、社会における女性の在り方を学びました。その過程で、雑誌世代として育った自分自身の世界を、客観的に、外側から見つめ直す機会にもなりました。
デザインについては、担当の田頭さんにサポートしていただきながら、「可愛すぎず、でも女らしい」「媚びないけれど女性らしい」といった、“女性が好きな女性”という感覚を形にできたように思います。著者の鈴木さんにも、私の中で同様のイメージがあり、「芯のある、かっこいい女性」という印象を大切にしました。
新書には定まったフォーマットがある一方で、ある程度の自由度もあり、その絶妙なバランスが他の書籍とはまた異なり、デザインをするうえで楽しめる部分だと感じています。今回は、過去の雑誌をフルカラーで掲載するため、白の発色が良い用紙を選びました。また、扉のデザインには、ほんの少し女性らしさを加えています。その白い紙に、ドライな真紅の赤を差し色として使ったことで、「赤文字系」というテーマと、「女性史」という観点を、効果的に表現できたのではないかと思います。
おかげさまで、Twitterを通じて非常に嬉しいコメントもいただきましたので、以下にご紹介させていただきます。
(Book Design 2021)
REVIEWS
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著者:鈴木涼美さん
めちゃくちゃ素敵なデザインどうもありがとうございました!!新書って見た目が可愛くないからそんなにキョーミない…と思っていたのですが、そんな概念をひっくり返すどころか、今まで出した本の中でも一番素敵な装丁!と思ってます。ほんとに嬉しい!